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about・ぶんの前身ブログです。こちらが本店、あちらが支店のつもりです。(笑)


by bp2004

6 忘れられないスーパーボウル

私が忘れられないその試合は今から20年以上前になる。

初めてアメリカに来た年の事だ。以前に書いたように(明るい人)、その時は喉頭癌でこれから声を失うという母を日本に残し、いつになるかわからない腎臓移植を待つ父と一緒にアメリカに来た。夫の勤務の関係で、手術予定地のサンフランシスコに居られるのは半年だけ。タイムリミットがあった。その間に父の移植のお呼びが掛かる事を祈る毎日だった。

その年、それまで万年最下位だったサンフランシスコ49ersが奇蹟の勝ち進撃を続けていた。スーパーボウルも夢でないというような。ジョー・モンタナがその原動力になっていた。彼はモンタナ・マジックと言われる奇蹟を起こす男とも言われた。奇蹟の逆転を何度も演じた。学生時代もそういう評判を持つ選手だった。でも、ドラフトでそんなに評価されていた訳ではない。プロ入り2年目か3年目に開花した。

何度も何度もモンタナ・マジックを起こして、ついにスーパー・ボウル行きを果たし、そこでも奇蹟を起こして初優勝した。



父母の事で毎日奇蹟を祈る日々だった私に、奇蹟はあるのだと勇気づけてくれた選手だ。その試合と共に、彼はいつも私の心の中のヒーローとして刻まれている。運動選手が病院などに励ましに行って、ホームランの約束などをする話を時々聞くけど、その約束のホームランを本当に打ってくれた時の気持ち、私は分かるような気がする。ヒーローが与えるものは、時に計り知れなく大きい。

色々の事があり、父はあきらめて日本に帰ろうとした。その帰る予定の前日に、本当に奇蹟の逆転のように声が掛かって手術になった。日本に戻って一年後に、拒絶反応を乗り切れずに摘出の憂き目にあったけど、手術出来る事になったと声が掛けられたその日の嬉しさは、それによって少しも損なわれた事はない。
by bp2004 | 2005-02-07 21:28 | 待夢(time)すりっぷ