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about・ぶんの前身ブログです。こちらが本店、あちらが支店のつもりです。(笑)


by bp2004

就職に勝つ

昨日、にんげんドキュメントを見ていたら、埼玉県で県の取り組みとして行われている、若い人達への就職に勝つためのセミナーを指導している女性が出てきた。彼女がやっているのはヤング・キャリア・プランとかいうセミナーだった。
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始まってすぐあれと思ったのは、そこに来ている人達は新卒ではなく、もう2年も3年も採用してもらえないという人達だった。見ていると、何処にも採用してもらえない所から来るのだろう、自信のない、ちょっと暗い感じの人達だったけど、取り上げた人達は、何故この人が?というような、真面目そうな普通の人だった。誰か雇ってヤレヨ!って言いたくなるような。働く意志だってちゃんとある。こういう人達も就職できない位、厳しい状況なのかと改めて驚いた。

彼女はこう言っていた。就職活動というのは企業と自分とのコミュニケーションなのだと。自分はどういう人間なのかを見せなければいけない。そういう人なら来てもらいたいと思わせなくてはいけない。自分がどういう人間で、その会社で何をしたいのか、それを見せなければいけないと。

ある人は横浜からわざわざ埼玉のこのセミナーに出かけている。彼の模擬面接のビデオを当人と一緒に見ながら、「あなた、この面接で一番使っていた言葉、分かる?(当然のように彼は分からない)「色々」って言葉。色々の経験、色々の云々。でもね、その色々の中味が聞き手には全然見えてこない。それが見えるように全然話していない。自分に分かっていても、それが相手に見えるようでなければ、企業は来て欲しいなんて思ってくれないのよ。」と言う。

その人は面接でも何だか自信ない暗い態度。言っている事もちっとも要領を得ない。色々な資格を持っていて、色々の賞も取っている人とは思えない押しの弱さ。迫力も魅力も全然伝わってこない。これじゃ、どこも雇わないなという感じ。それに対する彼女はなかなか手厳しいのだけど、誠意と熱意が伝わってきて、好きなタイプの女性だなと思った。

二人目の人は小学校からずっと公務員を目指していて、採用を得られず、2年の苦闘の末に、民間志望に変えた人。この人は明るい雰囲気、感じも見栄えもすんなり採用されそうな感じ。この人でも、志望を変えてから、アタックする企業にことごとく振られている。

彼女はこういった。「どうして小学校の時から公務員になりたかったわけ?何がそんなに良かったの?公務員になって何をしたかったの?」彼は全然具体的に答えられない。親が安定している職業だからと勧めていたからだろうか。自分自身の動機を支える、これをやりたい、というものがない。彼のような感じの良い青年が公務員になれなかった原因を彼女はずばりと見抜き、踏み込む。

三人目の人は、ずっと就職が決まらず、親の仕事の梨園を手伝っている。自分が何をできるのかを書けない。志望動機が書けない。働きたいのに書けない。自分がどういう人間なのか、何をしたいのかを、自身喪失の日々の中で完全に見失っている感じだった。親の手伝いもし、気は良さそうに見えるのだけど、何だか手応えがふわふわした感じの人だった。

彼女はその彼に何をしている時が愉しいか、それはどうして愉しいのか、という質問をして行く。その中で親の仕事を手伝う事によって見えたもの、培ってきたものに、彼自身がやっと気付く。それを具体的に能力として捉える事が出来るようになる。

そして、志望動機が書けないという彼に、相手の企業をきちんととことん調べるように。そして、そこのどこに興味、関心を引かれたのか、それを書くようにとアドバイスする。

そして、それぞれついに採用される。生まれて初めての内定をもらう。彼女のセミナー出席者の3分の2以上が、何年も内定すらもらえず苦しんできたのに内定をもらった。凄い!

「色々」としか言えなかった人は、「自分は駄目なんだなぁと殆どあきらめかかっていたんです。今はあきらめなくて良かったという気持ちで一杯です。嬉しいです。」と最後に笑顔で語っていた。

彼女のような女性が、こうやって迷える若者を、応援している事、すごく嬉しく思った。それと同時に、どんな場面でも、自分がどんな人間か、自分は何をしたいのかを分かっているという事がどんなに大切かという事も改めて感じさせられた。
by bp2004 | 2005-03-17 01:51 | 暇の果実