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by bp2004

石垣りんさんの詩

名前は聞いた事があるのですが、詩で記憶しているものがありませんでした。日経の『詩歌のこだま』(小池昌代)で取り上げられていたのを読み、なかなか良いなと思いましたので、ご紹介。

48才の時に刊行された『表札など』からです。彼女は14歳から55歳の定年まで日本勧業銀行に勤務し、生涯独身で詩を書いたそうです。4歳の時に母を失い、その後、3人の母を迎えたとか。

     
「くらし」

食わずには生きてゆけない。
メシを  野菜を  肉を  空気を  光を  水を
親を きょうだいを  師を
金もこころも
食わずには生きてこれなかった。
ふくれた腹をかかえ
口をぬぐえば
台所に散らばっている
にんじんのしっぽ  鳥の骨
父のはらわた  四十の日暮れ
私の目にはじめてあふれる獣の涙


深い洞察、それ故に強い力を持った詩だなと思いました。言葉が重い。軽い言葉が巷に氾濫している現代ですが、こういう重い言葉の詩には打たれます。耐え切れない程軽い言葉の中で、こういう重い言葉が吐けるのは、やはり詩人の詩人である由縁でしょうね。詩人という存在に羨望を感じました。

現代で、自分の言葉に命を賭けられる人がどれ位要るのでしょうか。言葉が軽すぎる。私も賭けられる訳ではないですけど、命を賭けられる人を渇望する自分が居ます。命を賭ける所まで行かなくても良いけど、せめてその耐え切れない程の自分の言葉の軽さに羞恥心をと望むのは、生硬すぎるのでしょうか。、
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by bp2004 | 2005-05-14 11:44 | 暇の果実