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about・ぶんの前身ブログです。こちらが本店、あちらが支店のつもりです。(笑)


by bp2004

6 淡路恵子が『徹子の部屋』に出た時

淡路恵子は中村錦之介の奥さんで女優でしたが、彼が難病に侵された時、その看病に全てをかけて尽くした人です。ぼろぼろになる程。

そして、彼がその不治の病かと思われた病いから、彼女の献身のお蔭でほぼ立ち直った頃、彼は彼女の親友(女優でしたが、名前忘れました)の為に、淡路恵子を捨てたのです。彼女は親友と、尽くしに尽くしたご主人の両方に同時に裏切られた訳です。長い長い離婚を巡る争いがあったと思います。

離婚して、大分経ってから女優に復帰し、それから間もない頃、『徹子の部屋』に出て来ました。さっぱりと明るく元気そうでした。徹子がそんな目に遭って、ずいぶん明るいので驚きもし、安心もしたというような事を言ったら、淡路恵子は、「その渦中は、私、それこそ鬼のようでしたよ。口惜しくて口惜しくて、憎くて憎くて、、。」と言いました。

どうやってそういう所から、抜け出せたのですかと聞かれて、彼女はこう答えました。



その渦中に居た時は、もがいてもがいて、もがいても、もがいても、どんどん沈んで行くだけで、自分はもう駄目になるかと思ったのよ。どんどんどんどん深い深い底に落ちて行く感じだった。どうしようもない感じ。でもね、不思議なものよ。人間てどんどんどんどん底に落ちて、底の底まで落ちて、トンと底に足が着くとね、そこからすっと上がって来られるものなのよ。そこまで行かないと駄目ね。トンと底に足が着くまでは駄目。落ちて行くより他ないの。

その底に着いた時ね、ふと鏡を見たの。そしたら、はんにゃみたいな顔の怖い暗い私の顔がそこにあったのね。それを見た時、痛烈に「これは私じゃない。私はもっと明るく強い人間の筈だ。私は一体何をしているんだろう。本当の私に戻ろう。もうこんな自分で居るのは止めよう。」と思えたの。それから、色々な事が吹っ切れて、一つ一つの事が割り切って考えられるようになって、今は何をしたら良いのかと考えられるようになったの。

だからね、落ちて行く時に、悪あがきしても無駄なのね。底の底まで行ってしまえば良いの。そこでその底に足をトンと着くまでね。そうすれば上がって来られる。そうならない内は上がって来られないのよ。

そう語った淡路恵子はすごく爽やかな感じでした。そこまで洗いざらい語った彼女にも凄く魅力を感じました。その日から、何か辛い時は、底の底まで着いたら上がって来られるのだと思えるようになりました。忘れられないインタビューです。
by bp2004 | 2005-02-18 13:35 | 暇の果実